ならのしかブログ

読書や外国語学習を主に。本が読めるようになりたいです。

Die kleine Hexe 7

Denn laufen müssen und laufen können ist zweierlei.

手持ちの独和辞典からWeib(この章だと女性3人なのでWeiber)は「この語は今では差別的なニュアンスがある」と注意が入る。昔はOKだった言葉や表現が時代とともにNGになる例に早速遭遇してしまった。

「昔の有名な小説だけでなく現代の小説も読んで今も知るように」という英文学教授のアドバイスを今でも本選びの指標にしているが、あの時「最近」の目安は世に出て10年以内だった。今は変化のスピードがずっと速くなっているので10年だとひと昔になるのだろうか。5年、3年以内で最近になるのだろうか。

自分から進んでするのと人に言われてするのとではモチベーションが違うのは今も昔も変わらんね。

Die kleine Hexe 6

„Ja, es ist richtig, ich muss eine gute Hexe werden. Nur so kann ich dieser Rumpumpel eins auswischen. Grün und gelb soll sie werden vor Ärger!“
激怒の表現がドイツ語だと緑と黄色(もしくは青色と黄色)なので国によって色に持つイメージや感覚の違いがあっておもしろい。血の気が引きながら怒るのか。キレた後の状態か。「いい魔女になってアイツをぎゃふんと言わせてやる!」に小さな魔女のやんちゃさが出てる。
Abraxas、煽るのがうまい。本カラスはいたって真面目。魔女も多分短気な性格(物語の最初からプリプリしてるし)なのもあるかも。

この章のタイトルは「Gute Vorsätze(いい決意)」。小さい魔女はOder HexeにもAbraxasにも良い魔女になると約束しているのに、なんでこの章をあえていれたんだろう。

独独辞典を使えるほどまだ力がないので新明解国語辞典(第六刷)を引く。決意とは、自分の取るべき行動・態度などをはっきりさせ、その通り実行しようと心に決めること。この章で小さな魔女は「良い魔女」になるためにどうしていくかを決めた、ということかな。

So late in the day

So late in the day
Claire Keegan
ISBN 978-0-571-38202-6

 ‘I just don’t know about this stuff, that’s all.’
  ‘Which stuff? My stuff?’
  ‘These things. All your things. All this.’
(...)
 ‘Did you think I would come with nothing?’
 ‘It’s just a lot.’ He’d tried to explain.
 ‘A lot? I do not have so very much.’
 ‘Just a lot to deal with.’
 ‘What did you imagine?’
 ‘I cannot understand,’ she told him. ‘You knew I have to leave the flat in Rather by the end of the month. You asked me to come here, to marry you.’
 ‘I just d didn’t think it would be like this, is all,’ he said. ‘I just thought about your being here and having dinner, waking up with you. Maybe it’s just too much reality.’
(P.19 -P.20)

この本のテーマのハイライトは主人公Cathalの父親と兄との食卓(母親は入らない)のシーンだと思うが、一番印象に残っているのがCathalの「I just thought about your being here」。

Cathalの視点で物語は進む。初めのうちは彼の婚約者のSabineが自然派であまりお金に頓着しない性格のように感じたが、毎度毎度Cathalが自身の出費を主張してくるのが鼻についてくる。そしてこの会話。

この本では男女の不均衡さが描かれている。SabineがCathalにする事は、彼女が負うべき彼への生活面、精神面、そしておそらく性的面でのケア・サポートであり、それらを当たり前に男は受け取る(消費するがいいのか?)。一方CathalがSabineにする事は彼にとってadditional cost。不要で無価値な負担となる。それはなぜか。

Cathalにとって女性とは彼の人生のサイドライン・黒子でしかなく、個性を持った一人の人間だと想像できない。だから彼女の引っ越しを「ただ彼女が身一つで自分のところに来る」と想像し、プロポーズも「家賃削減できるし(=Sabineが自身の居場所を持つのは要らない出費)」になる。

Sabineの指に合わないリサイズが必要なアンティークの指輪は、Cathalが父親から受け継いだ女性観・家族観では二人の結婚は成り立たないこと、成り立つためにはCathalが自身の価値観を修正しなければならないことを暗に示しているが、Cathalはリサイズをコストととらえる。最後、もたらされたその結果をCathalはSabineはじめ女そのものを‘cunts’と呼ぶことでしか受け止められない。ここにこの本の主題の根深さを感じる。

この本のフランス語版のタイトルはMisogunie。

Der kleine Hexe 5

箒を入手。お金はどうやって手に入れているんだろう?
挿絵の箒で飛んで行く魔女を見送る店のおじさんの手が本当に驚いているようで好き。びっくりしすぎて息が止まった一瞬。

 „Das ist weit“, sprach Abraxas. „Vergiss nicht: Du hast keinen Besen mehr, du musst laufen!“
 „Das ist es ja eben! Ich möchte nicht länger zu Fuß gehen müssen. Und weil ich nicht länger zu Fuß gehen möchte, so muss ich ins Dorf gehen.“

    Der Weg Wurzelkonrren unt Felstrümmer, niedergebrochene Bäume und Hänge voll Brombeergersrüpp. Dem Raden Abraxas machte das wenig aus.

とんちの様なやり取りの後、いざ村へ。村までの道中が長めに書かれていてカラス君の「遠いよ」が文の長さで物理的に表現されていると感じたのは、知らない単語の連続で私が村までなかなか読み進められなかったからでしょうか。

Die kleine Hexe 4

小さな魔女、家に帰ってくる。

お気に入り:
„Ich werde ihr einen Schweinsrüsesel anhexen!“, zischte die kleine Hexe. „Und Eselsihren und Kälberfüße! Unter das Kinn einen Ziegenbat - und als Anhängsel hintendran einen Kuhschwanz!
キマイラ誕生。魔女の怒りとどまらず。まだ行っちゃいけないのに行ったん君やん。そこまで恨まれるようなことをした die Muhme Rumpumpel も悪いとは思うが。 Die Oberhexeは罰を与えようとはしなかったのだし。

ここも好き:
„Möglich“, versetze Abraxas. „Ich fürche nur, dass du es bitter bereuen wirst, wenn du der Wetterhexe Rumpumpel was Böses antust ... “ (...) „Weil du der Oberhexe versprochen hast eine gute Hexen zu werden. Und gute Hexen dürfen nichts Böses anrichten, meine ich. Lass dir das mal durch den Kopf gehen!“
小さな魔女が帰ってこないのを心配して煙突の上で待ってたり、その子が復讐に駆られて約束(良き魔女になる)を守れなくて後悔するんじゃないかと不安になったり、聡明なだけじゃなく優しい。
カラス君の考えでいくとder Wetterhexe Rumpumpe (die Muhme Rumpumpel)や彼女にそそのかされた魔女たちは決して魔女の夜に参加できるような良い魔女ではないような。人から恨まれるまで罰するのはBösesでは?

Abraxasをずっとカラス君としているがオスであっているのだろうか(私の中ではオス。そしてカラスさんではない)。あと小さな魔女の名前が出てこないのでちょっと呼びにくい。