よむしかのブログ

本が読めるようになりたいしか。そのためにゴガクもがんばる。

背表紙の学校

背表紙の学校
奈倉有里
ISBN: 9784065428023

想像力豊かな女の子と思慮深い女性。ふわふわしたある日の憧憬とそれを曇らせる今も広がる戦禍。陰鬱な状況下にいる現代の私達とロシア帝政やソ連下の暗い時代に生きた詩人達。それぞれが平行、交差、オーバーラップしたり。クロワッサンの生地みたいに積み重なったり、マーブルパンのように混ざったり。

「きのこと詩を狩る」より、
きのこがたとえ食材であってもキラキラ輝いて見えるのは食いしん坊なのでわかる。素晴らしい食材の先に、湯気がたち、いい香りがただよう一品がみえるのです。ふんふん鼻歌を口ずさみながら詩作したのだろうか。
簡単なきのこレシピもあったので作ってみたい。しいたけ、まいたけ、平茸、なめこ、しめじ、エリンギで、鶏肉の代わりにベーコンでもいけると思う(鶏肉は無くても良いのだから)。

詩は「落葉注意!」の章から一部抜粋:
P.82
  無関心という 復讐はするな
  憎しみは 僕らを破壊する
  けれども まだ救える
  僕らがどちらも 生きてさえいれば

僕ら、は同じ信条ではないかもしれない。それでも「僕らがどちらも」に、相手をなき者に(実質的な殺すkill、相手の言葉や考えを無視するようなignore)しては救えないとのメッセージが込められているように思う。救うというか止めるのか。
それでも最後の一文に「そうであっても、破壊が、戦争が始まってしまったら、どうしようもないよ」と言われてるようで苦い。

英単語暗記②とalpha

単熟語EX 準一級 Unit1までAnkify終了。夏ごろに全てのAnkifyが終わる見通し。そこからさらに日々のノルマカード数が減っていくのに半年ほどかかると思われる。一冊やり切るのに時間はかかるしノルマもきつい。でも洋書や新聞で覚えた単語のおかげで文がわかるとちょっとうれしい。単語の意味を思い出せない時は思いのほか落ち込む。

英字新聞は2月からジャパンタイムズのalphaを購読。続けられる自信がないので3か月契約にて。初めの2か月は1日の細切れの時間で通読しようと力みすぎて挫折しかけた。残り一か月は「母語の新聞も興味ある記事だけ読んで全部読んでないしな!」の割り切りと、土曜モーニングのルーティーンに英字新聞を組み入れたとかろうまく続けられた。あともう少し頑張れる。
alphaは海外事情で初耳のニュースが載っていたりしておもしろい。映画のページは必ず読む。書評もあっていいのに。

ドイツ語は単語がなかなか先に進められない。自分の単語学習のリソースが英語に行ってしまっている。そもそも単語だけでなく全体的に同じ場所で足踏み状態な気がする。どうにかしたい。

ばけばけ

カメラワークとオープニングが大好きでした。あとセットがとても凝っていた。ディテールもセットの数(種類)もこだわってたと思う。

最終週はテーマの「ばけばけ」「ウラメシ、ケド、スバラシ」「たわいもない日常の愛おしさ、素晴らさ」が凝縮されていた。甲子園のせいでリアルタイムで朝ドラを(昼に観るが)観られず忌々しかったが週末に一気見してかえって良かった。

おトキちゃんの鏡合わせは、おサワさん、おなみさん、イライザさん、ランさんになるのだろうか。

おサワさんは夫に経済的に依存せざるを得なかったおトキちゃんとは逆に(と言うかそれを選ばずに)自分の力で道を切り開いて向こう側へ渡った自立した女性。

おなみさんは家族の為に遊女になり、身請けされて向こう側へ。おトキちゃんもヘブンさんと一緒になり長屋を出るもラシャメン騒動で苦しむ。向こうへの渡り方は同じはずなのに遊女/ラシャメンで風当たりの強さが違う。それとも世間の認識はパトロンと一緒になって遊女を辞めた、ラシャメン(遊女)になった、になるのか。

イライザさんは作家としてのレフカダ・ヘブンを見てきて、錦織さんと同じ文学的同志だった。
最初Kwaidanを受け入れられなかったのも高尚な物(小説でいうなら大衆小説ではなく文芸)を書く人としての「レフカダ」を愛してたがゆえ。おトキに怒りをぶつけたというよりも内に渦巻いていた憤りや悔しさ、ウラメシさを吐き出さずにはいられない、こぼれてしまった瞬間のように感じた。
(ばけばけに小泉八雲の逸話や「怪談」ネタを期待しすぎてガッカリしている人もこんな感じなのだろうか。)
トキへの回顧録のリクエストも何者でもないただの日本人で家庭人の「ヘブンさん」や「雨清水八雲」を理解しようとする彼女の気持ちの変化。

イライザさんにとっては前半の「日本滞在記」までがスバラシで後半の「Kwaidan」はウラメシ。おトキちゃんにとっては前半(Kwaidanまで?)がウラメシで最後にそれらがかけがえのないものと気づきスバラシに化ける。
「思ひ出の記」が白地に金字の綺麗な装丁だったので最後はイライザさんにもそのスバラシを共有できたんじゃないかな。

虎に翼に続いて最後まで観た朝ドラでした。虎に翼が外(社会)に向いたページターナー的なおもしろさなら、ばけばけは内向的でしっとりした趣きのある随筆を読んでいるようでした。

2026年目標

2026年はもう少しブログの投稿を増やしていこうと思います。
自分ひとり壁にしゃべりかけているようなブログだと思うのでもっと気楽にやっていければ。

2026年は2025年に始めた単語(英検準1級、独検2級)のクローズ(主にAnkiへの打ち込み)のやりきりと、それ以外の読む・聞く・話すのスキルの底上げの取り組み。

読書は蓄えた積読本を読み進めたい(が、欲しい本がにょきにょき出てくる、どうしよう)。
2025年年末から2026年年始にかけての年越し本は2冊:
(1) 「人間の彼方」 ユーリ・ツェー(Juli Zeh), 酒寄進一 訳
(2) 「Wellness」Nathan Hill
2冊とも人間関係の相いれなさ、不確かさに揺れる登場人物達のどうしようもない一面や駄目なところがわんさか出てくる。けれども作者はそれらを切り捨てたり否定したりせずに、物語の最後をぽやっと明るさでとじる。

英単語暗記

Ankiで英検準一級の単語帳(単熟語EX)に取り組んでます。

単語をろくに取り組まないまま準一級に合格したのがずっと心残りでした。

学生の頃から単語だけを勉強するのがどうにも苦手で単語帳を何周も回すどころか一度の通読にさえ苦労する程。周囲の使い込まれたボロボロの単語帳に目がいっては羨ましく思い「これじゃなくてあの単語帳ならやりきれるかもしれない。」と途中で乗り換えては結局また別のに手を出す、を繰り返してました。

ドイツ語を始め、短文暗記の為に思い切ってAnkiを導入し、しばらく経ってから必要に迫られるように単語帳に取り組みました。デッキ作成だけで満足して終わらせずに毎日ひいひい言いながらカードをめくっているうちに単語帳を2冊もやり通せてました。今もせっせとめくってます。

英単語帳も同じようにやり切れるかはまだ不安です。むちゃくちゃ失敗してきたので。
できた2冊が自分へのちょっとした支えとなって再挑戦を続けられています。

Ankiさまさまな反面、データで単語帳を回す以上、オリジナル(紙媒体)はあまり開くことがなく状態は綺麗なまま…憧れのボロ単にはならないのが少し残念です。

Magnolia Wu unfolds it All

Magnolia Wu unfolds it All
Chanel Miller
ISBN: 9780593692899

Magnolia Wuの両親はコインランドリーでいつも忙しく働いていてなかなか娘に構えそうにない。つまらない夏になるかと思いきや新しくニューヨークに引っ越してきたIrisの提案で靴下探偵になることに。はたしてMagnoliaとIrisはコインランドリーに忘れられた靴下を持ち主達に届けることができるのか。

  “The more he called me stupid, the more I believed him. I was stupid, and there was nothing I could do about it. But one day I was flipping through these books and learned that thing about flamingos – how they’re actually gray but turn pink after eating shrimp. Flamingos become what they consume.”

 (...). “So I started to imagine that my dad’s words were like shrimp—if I absorb them into my system, I become them. I turn stupid, turn pink. But if I spit them out, I get to stay myself, stay gray. His words won’t change me if don’t let them.
P. 86

この靴下の持ち主はフラミンゴが大好きです。でもフラミンゴの様にならないと言っている。フラミンゴは好きだけどフラミンゴの生き方は選ばないこのアンビバレンス。おそらく毒親であろう父親に傷つけられても嫌いになれず、むしろ好きだからこそ親の期待に応えられない自分に更に傷ついている。お父さんを好きなままでも父の全ては受け入れない。好きは好き、嫌いは嫌いと白黒つけて切り離せられない繊細で複雑な心の動きがstay grayに表れていると思います。

靴下ってその人の個性が出るように思います。五本指や足袋型を愛好しているとか。冬は二重履きとか。当たり障りのない私服にアニメ柄のギャップとか、上下の服をばっちり決めても靴下に穴が開いているよとか、逆に見せる靴下で魅せるとか。そもそも素足派の人もいる。普段は靴で隠れるものだからこそ履く人の人となりが垣間見えるのでしょう。

Magnoliaの置いてきぼりの片方の靴下を「寂しそう」と同情してあるべきところに返してあげる行為は、持ち主その人を尊重し、その人の心の柔らかい部分を大切に丁寧に扱うことと同じ事なのだと思います。

片っぽの靴下。それをたかがと思ってしまうのか、されどと思えるのか。

ありか

ありか
瀬尾まいこ

あたたかいけどどこかクールでベタつき過ぎない人と人の関係が読んでて心地よい。でも時には相手の領域に踏み込む図々しさ(おせっかいとも言う)も必要、という。
食べ物がたくさんでてくるのも食いしん坊には嬉しい。誰かと食卓を囲んでほっとできるかけがえのない時間、その幸せ。それができる相手の大切さ。そういった人達と過ごすその時間の積み重ねがちょっと踏み込める勇気につながるのかと。

同じ著者で「君が夏を走らせる」も好きなシーンが散らばってる。料理、食事場面が多くてニンマリである。文庫本で読んだけどハードカバーの2人があまりに可愛く素敵だったのでハードカバーも手にしたという。

「恋人や我が子じゃなくても、こんなふうに人を大事に思えるんだね」と私が言った。ひかりに対する湧き出るような愛情。奏多に持っていたうきうきする恋心。三池さんや宮崎さんにたいする友情や好感。それとは違う、穏やかで確かな気持ち。この先変わらないと保証できる思いがここにはある。(P. 329)
折に触れて好きなシーンをパラ読みしたくなる本がふえていく。そんな本がふえるにつれ自分の心の層もふえていくのか。厚くなるのか。

「夜明けのすべて」も買ったのでぼちぼち読もうと思います。